日本支部の発足と松濤館大島道場の歴史
松涛館大島道場ジャパンが2009年3月1日付けにて正式に発足いたしました。松涛館大島道場ジャパンの息吹は2006年春の沖縄合宿より始まり、本年春の鹿島神宮の合宿で7回目を数えて、うねりのように大きな気運となり、皆さんの力を合わせることによって創立いたしました。
2009年5月9日に創立記念演武会及び祝賀会をカルフォルニア・サンタバーバラ本部道場より大島劼最高師範をお迎えして行うことが出来ました。
ここで、世界の松涛館大島道場の歴史をふり返って見ます。松涛館大島道場・大島劼最高師範は1955年に南カルフォルニア大学大学院へ留学のため渡米し、同大学院在籍中の1956年に、海外における最初の空手団体となる南カルフォルニア空手同好会を結成しました。その後、本格的に空手の指導に邁進し、1957年にはカルフォルニア工科大学に海外初の大学空手部を創設し、長期にわたり同大学の講師を務めました。
また、アメリカ合衆国のみならず、カナダならびにヨーロッパ、中東、アフリカ方面においても広く空手道の普及に励み、1964年のフランス松涛館設立以来、現在ではイスラエル、スイス、カナダ、スペイン、ベルギー、ドイツ、ポーランド、ギリシャ、オランダ、オランダ領キュラソ、モロッコ、ガボン、香港等アメリカ合衆国を含め実に16カ国に松涛館を設立し、日本の武道と空手の精神を世界へ普及することに貢献しています。
大島師範が過去に空手の指導をした者の数は60万人に及び、現在も指導を受けている者は1万5千人に達し、その中には有段者約5500名が含まれます。大島師範の空手の指導は単に技の完成のみでなく、空手を通じ世界中どこでも個人の人格が完成されることを目指すものです。例えば教え子となる各国松涛館のメンバーには大学教授を含む博士号取得者が約500名を数えています。
これらの教え子たちが人間として成長し、生涯を通じて自己の仕事の傍らで空手の稽古をたゆまず続けていることからも、大島師範が単に格闘技としての空手ではなく、武道としての空手道を教え、日本の文化を伝える指導者であることを証明しています。
稽古方針
松涛館大島道場ジャパンは世界の松涛館大島道場の一員として、世界の皆さんと心を一つにしてやっていく熱い想いです。私たちの想いはひたすら真摯に稽古をし、自らが情熱をもって研究していくものであります。
空手は武道としての側面及び技術の体得を目指します。稽古に励み各々が自身で目指すものを習得し、創意工夫し、研究して磨いていくのです。その領域はとてつもなく広大です。先へ行くと今までと違った世界が見えてきて、その発見した喜びと、驚愕と未知へのおそれがあります。その繰り返しのなかに光明がみえて来ます。
空手はまたルールに基づいて互いに技を競うスポーツ、審判員をつけた試合として発展しています。 試合組手は空手の発展に大きく寄与しました。競技としての面白さ、切磋琢磨することにより空手を追求するうえで大変に助けとなり力となります。組手試合を行い挑戦し勝ちを収めたらよいと考えます。
ただ、空手の目指すところは審判員に手を上げてもらうことではありません。真に武道として立合いを制することにあります。 立合いを制することはいかに突き蹴りを行うかということだけではなく、まさに心の持ち方、心の領域です。空手の稽古は行きつくところは自由闊達、天衣無縫、自己の実現です。
松涛館大島道場ジャパンの発足と、稽古の今後の指針を述べさせていただきました。